第8章 【撮影】
力にとって大変良い事に一発でOKだった。おまけに普段顔が固い美沙の貴重な満面の笑みが撮れた。
「そういや兄さん、この映像どないすんの。ネットに上げるん。」
「いや、来年の文化祭あたりにでも使おうかと。」
「私カンケーないやんっ。」
「特別出演だよ。」
「しれっと言いなっ。」
「あまりわあわあ言うと今度はお前の声録音して合成音声データにするよ。ついでに配布するよ。」
「需要ないやろっ。って兄さん、そんな話どこで覚えたん。」
「どこだろうね。」
「原音設定とやらがいるらしいけど。」
つい知っている範囲のことを呟くと力がにっこり笑っていった。
「お前こそ今度は何するつもり。」
「べ、別に。」
美沙はひきつりながら言った。これ以上喋ると次ははたかれそうな気がした。
次章に続く