第8章 【撮影】
「なでなでしてごまかさんといて、私やらへんで。」
すると力は静かに言う。
「うーん、美沙は創作を重んずる子だから兄貴が何か作るのも喜んで手伝ってくれると思ったんだけどな。」
美沙はうっと唸った。あろうことか義兄は美沙の一番の急所をついてきている。
「絵を描くのと実写でやるのとは美沙の中では違うのかな。」
「いやどっちも立派な創作やと思いますよ、兄さん。」
「だったらさ」
次に繰り出された義兄の笑顔、美沙は今回だけは兄が魔王様に見えると思った。
「頼まれてくれよ。俺だってどうせならそういうのわかる奴がいてくれる方がいいからさ。」
情けない話だがこの瞬間美沙は魔王様状態の義兄に負けた。