第53章 【水着姿】
実のところ義妹とはどうするもこうするもない関係になってしまっているので力は木下の問いに対して適当に言い繕(つくろ)った。
「相手によるかな。」
「成田っ、こいつ実は誰でも認める気ねーぞっ。」
「縁下はもう早いとこあの子と籍入れろよ。」
「最低でもあと3年足りないだろ。」
「そっちかよっ。」
その頃1年生達は2年生の様子がおかしいと一連の流れをじっと見ていた。
「木下さんが縁下さんに突っ込んでるっ。すっげえレアだっ。」
「いつも思うけどよ、縁下さんがあんななる程の妹か、あいつ。」
「かかかか影山っ、ダメだよそれ縁下さんに聞こえたら火に油だよっ。」
「王様もたいがい学習能力ないよね。田中さんの二の舞になっても知らないから。」
「別にてめえに知ってもらいたかねーよ。」
「や、やめようって、それこそ怒られるよ。」
縁下美沙が絡むと直接的に苦労するのは木下と成田だが、間接的に苦労するのは山口かもしれない。
更に一連の様子は例によって3年生も見ていた。
「美沙ちゃんは2年じゃ人気なんだな。」
またも2年がわあわあやっているのを見て東峰が呟く。
「人気ってえよりさ、」
菅原が言った。
「あの子絡むと縁下が面白い事になるから格好のネタって感じだよな。」
ここで菅原はニシシシと笑い、主将の澤村はやれやれと苦笑する。
「当分先だろうけど縁下からどんな通知が来るやら楽しみだな。」
当の美沙はそんなことは知らず、図書室で勉強しながらもプールの疲れで時折ぐったりしていた。
次章に続く