第53章 【水着姿】
「お前何人の妹の水着姿ガン見してた訳。」
「べべ別にガン見してねーししょーがねーだろっ、1-5がプールだった時にうちのクラスがたまたま通ったんだからよっ。」
「ふーん。で、美沙がヒョロヒョロで何だって。」
「いや、別に、あんだけぺったんも珍しいとか思ったわけじゃ」
「田中さんッ、それ以上はいけませんっ、やめたげてくださいっ。」
「仁花ちゃん、落ち着いて。」
谷地までもが叫んだりしたがもう遅い。
「うわああああっ、縁下が乱心したああああっ」
「やめろってえええっ。」
田中を締め上げ始めた力に木下と成田が叫び、止めに入ろうとする。
「ちょ縁下っ、マジ悪かったって、勘弁してくれーっ。」
「うるさい黙れ。」
「力っ、やめてやってくれえええ。」
「次はお前だから、西谷。」
「何でだよっ。」
「うちの美沙がぺったんで女子っぽくないから何だって。」
「disったんじゃねーよ、褒めたんだって。」
「へえ。」
「待て力っ、話せばわかるっ。」
「成田、縁下が止まんねーぞっ。」
「もう面倒臭くなってきた、ほっとく。」
「成田っ、ちょ、おま。」
最近力が美沙がらみで暴走すると止める係になってしまっている成田がまさかの職務放棄をしたのでこのまま事態は悪化し澤村が恐怖の圧力を行使する事になる、と思われた。が、
「そそそれよりよ、縁下っ。」
苦し紛(まぎ)れに田中が言った。
「何だ。言い訳はもう聞かないぞ。」
「まま、聞けって。おめえのあの妹よ、俺よりもむしろ結構1-5の野郎共がガン見してたぞ。」
田中を締め上げていた力がピタと動きを止めた。
「それ本当か。」
「マジだってっ。手足とかコソコソ見てる奴いたぞっ。」
力は無表情になり、田中をパッと離した。
「って田中は言ってるけど木下どう思う。」
「何で俺に振るんだよ。大丈夫じゃねーの、そんな心配しなくても。」
「それでもジロジロ見ているのがいるのは困るな、誰か知らないけど悪い虫がついたらどうしよう。」
「いや、既にお前が憑(つ)いてんじゃん。」
木下が彼にしては命知らずな突っ込みを入れるが力はスルーする。
「大衆受けする子じゃないけどわかる奴にはわかるからなぁ。」
「縁下、お前マジで妹に彼氏出来たらどーすんだ。」