第52章 【時に義理がたく無自覚で】

「でもさ、美沙ちゃんを無理矢理おにーちゃんから引き離したくないって最近思っちゃってさ。そんなことしたらあの子泣いちゃうじゃん。」
「そんで不満足だから未練がましく関わろうってか。」

きつい岩泉の言い方、しかし意味がわかっている及川は岩ちゃんやさしーと呟く。

「でもいーんだよ、どっちにしろ俺ハンドルネームままコちゃんのファンだもん。」
「ネットアイドル扱いか、気持ちわりぃ。」
「ま、ついでにリアルであの子が優しいのにつけこんでるのは認めるけどね。」
「好きにしやがれ。」

岩泉は吐き捨てているようで吐き捨てていない口調で言った。

「骨は拾ってやる。」
「ちょっとー、ツンデレが過ぎるんじゃない、岩ちゃん。」
「マジで明日覚えてろ、このヌケ川。どてっぱらに風穴開けてやる。」
「何悪口のレパートリー増やしてんのさっ、しかも何の略っ。」
「抜け作及川だからヌケ川に決まってんだろが、ボケ。」
「とにもかくにもひどすぎるっ。」

幼馴染達はこうしてわあわあ言い合っていた。