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【ハイキュー】エンノシタイモウト

第51章 【ザリガニ釣り】


小柄な少年2人と細っこい少女がザリガニ釣りに興じている。それだけなら誰かが見かけてもああ子供が遊んでるな、で済むだろう、遊んでいる奴らの実年齢は置いておいて。が、明らかにおかしいところがあった。そんな野郎2人と女子1人の後ろで彼らよりもう少し大きく落ち着いた雰囲気の少年が静かに本を読んでいる。少年は本を読みながら荷物の番をし時折3人の様子を伺っていた。

「美沙、スマホケース引っ掛けるなよ。」
「わかってるー。あ、結べた。」
「よっし美沙、それをそこに投げてだな。」
「こぉかな。」
「お、うまいじゃねーか。」
「あ、美沙んとこでかいの来てるっ。」
「日向、足元気をつけろよ。」
「はいっす。」
「そんで西谷もはしゃぎすぎ、言っとくけどお前が落ちた時は助けないからな。」
「力ー、そんなに心配すんなって。」
「無理な相談だ、馬鹿。」

なんやかんや言っているうちに美沙があ、と声を上げる。

「釣れたー。」
「あ、でっけえっ。美沙いいなー。」
「やるじゃねーか、美沙。」
「よっしゃ撮影、ていっ。兄さん、釣れたでー。」
「うん、わかったからこっちには持ってこないで。」
「すっげえ、美沙すっげえ。なあなあ、こいつ食えるのかな。」
「揚げて食してる人の動画見た事あるで。」
「何それうまそ。」
「こら。」

聞き捨てならない会話を聞いた力がやってきて日向と美沙の頭を本で軽く叩(はた)く。ついでに美沙はもう一箇所叩かれた。

「食べるなよ、絶対に。外の事をよくわかってないんだから余計にな。」
「はーい。」
「兄さん何で私は2発もぶたれたん。」
「相手考えずに余計な情報流すからだ。お前はネタだって区別つけられるけど日向と西谷は危ないからな。」
「うう。」
「仮にも情報機器扱うんなら情報の取り扱いも気をつけてくれないと。」
「うー、わかった。」
「何だろ、縁下さんにさり気にお子様って言われた気がする。」
「力、あんま固いこと考えてっとしんどいぞ。」
「西谷はもうちょい考えてくれ、頼むから。」

力はため息をつく。我ながら何やってんだと思うが仕方がない。西谷に任せると妹が川にはまったり泥だらけになったりスッポンか何かに噛まれたとか言って帰ってきそうだ。兄(の線を越えた身だが)としてはそれは避けたい。
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