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【ハイキュー】エンノシタイモウト

第50章 【付き添い】


とまぁ一線を越えてしまった縁下兄妹だがしかしすぐ生活が変わった訳ではなく、そこはやはり高校生らしく阿呆らしいことでわいわいやっていることの方が多い。今日だってそうである。

「力っ、」

ある日の部活で西谷が言った。

「美沙を遊びに誘っていーかっ。」
「ハ。」

力は疑問形で返す。

「いきなり何だ、どこ連れてく気だ。」
「縁下っ、顔顔っ。」

木下が囁く。力の顔は田中に馬鹿を聞かされた時のような無表情になっていた。

「ザリガニ釣りっ。」
「はぁっ。」

さすがの力も声を上げた。

「お前いきなり何言ってるの。」
「いーポイント見つけたんだよ、翔陽も誘ったんだけどよ、どうせなら美沙もどーかって。」
「待て西谷、そこで何でうちの美沙なんだ。」
「だってあいつあんま外出ないんだろ、たまには日ぃ当たるとこ連れてってやらねーと病気になんぞっ。それに野郎ばっかもアレだし美沙なら乗ってくれっかなって思ってよっ。」

力は絶句、近くでは田中が腹を抱えて大笑いしそうなのを堪えている。

「西谷、お前ね。」

片眉をヒクヒクさせながら力は言った。

「うちの美沙を何だと思ってるんだ。」
「知りたがりの面白れー奴っ。」
「好奇心旺盛って言いたいのかな。」

成田がボソリと言い、力は頭を抱えて何でもいーよ、と呟く。

「で、誘っていーか、力。」
「えーと。」
「男ならはっきりしろよっ。」
「うるさい馬鹿、不安要素がありすぎて即答出来るか。」
「馬鹿って言うなっ。」
「阿呆ならいいのか。」
「美沙みてーなこと言うなよっ。」
「俺は美沙の兄貴なんだけど。」
「うぐっ。」

にっこり笑って力に返された西谷は言葉に詰まり青ざめる。

「そうだな、」

阿呆なやり取りをしながらも考えていた力は言った。

「誘うのはいいよ。」
「マジかっ。」
「その代わり、」
「おうっ。」
「美沙がオッケーした場合は俺も行く。」

たちまちのうちに周囲にいた連中が固まり、流石の西谷も疑問を呈した。

「何でだよ。」
「危なっかしい。」
「心配すんなってっ、俺がいるっ。」
「いやそれが心配だから。」
「何だとっ。」

ここで木下と成田が参加した。
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