第6章 【関西弁使用許可2年編】
ここで珍しく一連の流れを黙って見ていた西谷が口を開いた。
「力、もうあいつあのまま関西弁喋らせとけよ。」
「いいのか。」
「だってお前、あっちの方が自然で生き生きしてるぞ。少なくともお前と俺ら4人の時はあれでいいんじゃね。」
「そうかい。」
西谷はおう、そうだそうだと背中を押すように言う。
「でないとあいつ息詰まって死んじまいそーだ。」
「縁起でもないこと言うな馬鹿。」
「いーんじゃねーの。」
田中も言う。
「こっちも何か喋りやすい気がしたわ。」
力は成田と木下にも視線で意見を伺う。
「俺は別にいいよ、あまりにも独特の単語言われたら困るけど。」
成田が言った。
「確かにあっちの方が素っぽかったよな。」
木下も保証するかのように言う。
「妹が素じゃないってのは辛くね。」
それで力は決めた。
そうして力は帰りに美沙と本屋に行く道すがら、2年連中相手の時も関西弁で構わないと言った。美沙はわかったとだけ言ったが嬉しそうだった。
次章に続く