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【ハイキュー】エンノシタイモウト

第42章 【弁慶の七つ道具】


縁下美沙は昼休み、その義兄がたまに見せるような無表情になっていた。

「どないなっとんの。」
「どーもこーもあるか。」

答えたのは影山である。隣には何と日向もいる。

「いやせやけどな、何でまた2人揃ってなん、喧嘩でもしたんか。」
「喧嘩はしてねーけど、」

言うのは日向である。

「勢い余ってお互い掴んじゃったんだ。」

美沙はため息をつき、隣の席で苦笑している谷地に言った。

「谷地さん、ホンマ大変やな。」
「いや、まあ、ねぇ。」
「俺らが手ぇかかるみたいな扱いすんな、ボケ。」
「あんたはアホか、どー考えても手ぇかかっとるやないの、何で2人揃ってボタン取れてもた助けてやねん、しかも日向は2回目やし。ついでに言うと1組と3組に助けてくれる奴はおらんかったん。」
「うちも1組も誰も糸と針持ってなかったんだよ、うるせーな。」

影山が口を尖らせて言った。罰が悪いらしい。

「つか美沙、今日は何でそんなに小言多いんだ。」

日向が首をかしげる。

「こないなるとやな、また縁下かって私が言われんねん。」
「まあまあ美沙さん、落ち着いて。私も手伝うから。」

谷地に言われて美沙はまたため息をつく。

「もうしゃあないなぁ。」

結局引き受けるのが縁下美沙である。

「ごめん谷地さん、ほな日向のやったって、針2本あるから。」
「オッケー。」

というわけで1年5組の教室にある光景が展開された。空いてる席に座る他所のクラスの野郎共2人、うち1人は図体がでかい。野郎共は2人して体操服のシャツを着ている。その向かいには5組の少女2人、野郎共の制服のシャツにボタンを縫い付けてやっている。
はっきり言おう。それはかの画家マグリットもびっくりするかもしれないシュールな光景だった。故に5組の奴らはコソコソ言い合っていた、あれなんだ、また縁下か、と。
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