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【ハイキュー】エンノシタイモウト

第35章 【外伝 及川のブックマーク】


「おめぇ、バレーで同じ事聞かれたらどうすんだ。どうせ天才には勝てないとか言われたらやめんのか。」

及川はハッとして岩泉を見る。

「こまけーことは俺もわかんね。でもあの6番の妹もおんなじじゃねーのか。」

及川はスマホの画面に視線を戻す。ハンドルネームままコの作成動画一覧、うち一つの動画情報が目にとまる。再生数6028、ブックマーク数40、コメント数60、ままコの動画の中ではダントツだ。気になってリンク先を開く。その動画の投稿者コメントにはこうあった。

"ないから作りました。1人でも喜んでくれたら嬉しいです。"

及川はスピーカー音をごく小さくして再生してみた。音楽に合わせて入れ替わる絵、合間に踊るように動く図形や文字、及川には詳細がわからないが場面の切り替え用などに後から加えられたと思われる効果、絵自体はアニメーションしない癖にその分出来うる演出をしようと一生懸命なのが何故か伝わってくる。
そして流れる60のコメントのうち多くはこのネタ待ってた、嬉しい、愛が溢れているといった喜びだった。

「ないから作る、か。」

いいなそういうの、と呟く及川の指は勝手に動いていた。

「何てめーは投稿者のブックマークしてんだ、マジないわ。」
「いーじゃん別にぃ、俺が気に入ったんだから。」
「うるせえっ、オンオフ問わず追っかけやがってこのキモ川っ。」
「ちょっと岩ちゃん、何さりげに悪口のバリエーション増やしてんのっ、まさか美沙ちゃんの影響っ。」
「何で俺が烏野6番の妹に影響されなきゃなんねーんだっ、おめえと一緒にすんなっ。つかな、」

わあわあ言いながらふと岩泉はトーンを変えた。

「気になるところは本人に聞きやがれ、グズ川。あのお人好しのこった、答えはきっと返ってくる。」

及川はそうだね、と微笑んだ。

この後ままコこと、縁下美沙は動画視聴サービスからブックマークされた通知メールを受け取り、さらにはメッセージアプリに及川からなんでもいいから作った動画ちょうだいなどという不思議な依頼を受け取り、気づいた義兄の力の機嫌が悪くなるという目に遭うがそれはまた別の話だ。

次章へ続く
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