第4章 【ハンドルネーム ままコさん】
「やっぱりお前か。」
「なななな何のことー。」
関西弁イントネーションで言ってごまかしても無駄である。
「無駄な抵抗するんじゃない、やましいことがないならこっち向きな。」
言われて美沙は渋々力の方に顔を向ける。
「何でバレたし。」
「お前がアップした動画西谷がたまたま見てた、のをみんなで見てた。」
「せやけど、」
「俺はまず絵柄で一発、あとは投稿者コメントと投稿者名でお前知ってる奴は大体気づいたと思うよ。」
ウググと美沙は唸る。
「兄さん、何か怒ってはる。」
聞かれて力はうーん、そうでもないけど、と言ってから
「強いて言うなら俺に隠し事したことが気に入らない。前に言ったよな、隠し事するなって。」
力は意識した訳ではないが顔が笑っていても何か滲み出ていた為、美沙は顔を青くしていた。
「あと、投稿者名酷すぎだろ。継子だからままコて。もっとマシなのに出来なかったのか。」
「思いつかへんかって。」
「お前のことだから生き物の名前にでもするかと思ったよ。」
「どんなイメージや、カンムリニワシドリて名乗るとでも思たん。」
「そうやってすぐ出てくるのが流石だよ。お前の頭どうなってるの。」
「ごく普通。」
「うん、黙ろうか。」
美沙がまた顔を青くしたので力は流石にこの辺にしてやろうと思った。
「可愛らしい動画だったな。」
「そお。」
「谷地さんが色使いが好きって。」
美沙はえへへへ、と照れ笑いをした。
「兄さんはどうやった。」
突如求められた感想だが力は正直に言った。
「俺は好きだよ。お前、物語っぽくするのうまいね。」
美沙はさらに嬉しそうにした。
次章に続く