第4章 【ハンドルネーム ままコさん】
というわけで力は帰ってから義妹に問いただそうと思っていた。しかし先日の素材集云々の時からして真っ向から言ってもシラを切りそうだ。何だかんだ言って嘘つくのは下手な義妹である、どこかでポロっと言うのを待つ事にした。
義妹が田中や西谷並みに単純なのは幸いだったと力は後で思う。
その日の夜、力の部屋のドアがノックされた。
「兄さん、入っていい。」
「どうぞ。」
言うと畳んだ洗濯物を抱えた義妹が入ってくる。
「はい、洗濯もん。」
「ああ、ありがとう。」
「どこ置いとこ。」
「とりあえずベッドの上。」
「はーい。」
美沙は言って洗濯物を置き、立ち去ろうとする。気が抜けまくりである。
「ところでままコさん。」
なんの気無しを装って力は呼んだ。
「はい。」
何の気なしに返事をした美沙はすぐに気がついたのかドアの前で硬直した。