第5章 【関西弁使用許可1年編】
さて、本来の言語は関西弁であり、ただ周囲に気を使い言語の使い分けをする縁下美沙だが男子排球部関係者についてはどうやって関西弁オッケーになったのか。学年毎の経緯を追ってみよう。まずは1年生達である。
まず、谷地については部活における彼女と美沙の義兄である力の会話から始まった。
「縁下さん、美沙さんってちょっと言葉が独特じゃないですか。」
「あ、ああ、いわゆる女の子っぽい喋りじゃないとは思うけど。」
しかし谷地は、いえそっちではなく、と言う。
「何かここいらの言葉じゃない気が。捨てるをほるっていいますかね。」
ああ、と力は思った。
「気にしないで。亡くなったおばあちゃんが関西の人で、ずっと育ててもらってたから言葉がうつってるみたい。」
「ああ、だから美沙さん標準語の時は言葉が固くて話しづらそうなんですねっ。」
「そうなのかな。」
目端の利く力だが美沙が話しづらそうにしているとは気がついていなかった。
「うーん、でも関西弁だと勘違いしてひどいこと言う奴いるからなぁ。本人もわかってると思うんだよな。」
「縁下さん的にはどうですか。」
「俺は全然構わないからそのまま喋らせてる。実際家でも関西弁だし。後は本人のしたいようにさせるよ。谷地さんは構わないなら本人に言ってやって。」
谷地は元気よくラジャりましたっと答えた。
後日美沙から聞いたところによると谷地からバリバリ関西弁オッケーと言われたらしく、実際美沙はクラスで谷地にだけは関西弁で話すようになった。