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【ハイキュー】エンノシタイモウト

第29章 【落下】


それは一瞬のことだった。ドンッと誰かに背中を押された。と思った瞬間には美沙の体は浮いていて、階段の一番上の段から下の踊り場に投げ出されていた。
誰かが走り去る足音がし、やっと階段から落ちたと実感した時もう辺りには美沙以外誰もいなかった。

何でまた人目につかないところで縁下美沙はこうなっているのか。
事の経緯はこうだ。休み時間にお手洗いに行った。しかし1年のフロアのお手洗いが混んでいて、待ってられるかと思った美沙は3年のフロアのそれも端っこで遠い為他の生徒がほとんど使わないところまで行った。人見知りがまた大胆な真似をしたものだが背に腹は変えられない。
こういうあまり人がしない事を無自覚に決行するから最近1-5の縁下妹は悪人でないけど変わってると言われているのだが今は置いておく。そうして教室に戻ろうと階段まで来たところで最初の話に戻る。

「いったぁ。」

美沙はゆっくりと動き始めた。

「絶対押してきたやろ、誰や。」

ブツブツ独り言を言いながら起き上がろうとするとあちこちが痛い。片肘を強く打っている。どこかの段にひっかかったのか片膝も擦りむいている。額も痛い。
そういえば肩から下げているガジェットケースが跳ねてケースでカバーしきれていない角っこが額の真ん中辺りに当たった覚えがある。ズキズキするので気になってスマホを取り出しカメラアプリを起動、自分撮りに使われる正面カメラにして顔を映すとスマホの角っこが当たったところが傷になっている。
ガジェットケースに入れていたタッチペン兼ボールペンは飛び出して転がっているし制服はもちろん埃まみれ、髪は乱れていてとにもかくにも酷い有様だった。
階段から落とされる覚えはなくむしろ縁下の義理の妹という境遇で無茶苦茶言われる方が多い立場で泣きそうだ。
それでも今はそれどころではないと泣きそうなのを我慢しながら美沙は埃を払い、タッチペンを回収して髪を整えるとまず保健室へ行った。
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