第6章 治癒という名の
「傷を見せて」
半ば無理矢理に服を脱がせる。
「ちょ、ちょっとみゆきさん……」
恥ずかしそうに嫌がるササコの声を無視して、下着だけの姿にする。白いフリルの下着が可愛らしい……と思っている場合ではない。傷の具合を確認する。
敵の赫子は羽赫と甲赫。腹に受けた甲赫の穴は塞がりつつあるが、まだぐじゅぐじゅと音を立てて再生中だった。
問題は羽赫の攻撃である。小さなガラス片の様な物を広範囲に飛ばしてくるもので、捜査官の多くが被弾した。
しかし、1番被弾したのはササコだ。甲赫に刺されても怯む事無く羽赫へ向かってクインケを振りかざし、相手の注意を自分に引きつけた。
───自らを囮に。
普段のササコらしからぬ戦い方だった。それもクインクスを庇っての事だろう。
白い肌のあちらこちらに傷痕が残っている。ほぼ治癒しているとはいえ、その数の多さはなんとも痛々しかった。