第3章 2時
『うっ…………うぇ…』
さっきまでの感動の別れに浸ることもなく、
私は船のトイレで初めての船酔いと戦っていた。
「しん、大丈夫??」
私の背中をさすりながら、
心配そうにナミが聞く。
…大丈夫なもんか…
首を大きく横に振り、
出すに出せない気持ち悪さに苛立ちを覚える。
「ナミ!!酔い直しの薬!!」
チョッパーが顔を出し、
緑色をしたペースト状のものを渡す。
「ほら、しん。口開けて」
見るからに不味そうな薬に、
イヤイヤとまた首を振る。
「飲まなきゃ、ずっと辛いまんまだぞ」
『…苦いの…やだ…』
「大丈夫、苦くないようにしたから!」
『………………』
チョッパーを横目でチラリと見る。
大丈夫だ。っと、優しく笑いこっちを見ていた。
……………。
目をギュッと瞑り、
恐る恐る口を開く。
『………んぐっ?!……』
ナミがスプーンで口へ入れてくれたはいいが、
思った以上に奥へと突っ込まれ、
反射的にゴクリと飲み込んでしまった。
『…にが……』
一気に飲み込んだにも関わらず、
口の中に強烈な苦さが残る。
「よく頑張ったわね。
はい、口直し」
ナミから差し出されたのは、
水とサンジさん特製のドリンク。