第2章 1時
まだ体が痛む私は、
大きくなったチョッパーに背負われ、
海岸へと向かう。
「なぁしん。
外の世界を観たことがあるか?」
チョッパーがこちらを向かずに言った。
『…………ない』
聞こえるか聞こえないか、
そのくらい小さな私の声に、
チョッパーの耳がピクピクと動いた。
「俺もだ。
でも、後悔した。
もっと早くに出てみれば良かったって………
………でも、そう思って、
また、
後悔したんだ。
………………………………………。」
最後の言葉は、私にしか聞こえないくらい、
小さな声だった。
それっきり、
何も話さなくなったチョッパーの、
ふわふわとした毛に体を預け、
帰りはパパに背負われるのか?
などと考えていた。