第14章 耐えられない痛み ジョセフ
「ッあー…痛い痛い痛い痛いいいいいいい」
亜理紗だけではないだろう、月に一度は来るアノ痛みを感じるのは。
本当に憂鬱だ、と曇っている空を自室から見つめながらため息をついた。
まるで自分の心をうつしたような…いや、自分の心はもっとどんよりとしていて晴れる見込みすらなさそうな空模様な気がする。そう感じてベッドに寝転ぶ。
下腹部に締め付けられるような痛み、所謂生理痛だ。亜理紗はそれに悩まされていた。
体質的な問題でそんなに痛みを感じない人からとても重い症状を引き起こす人もいる。3日くらいでスっと引いてしまう人もいれば一週間ダラダラと続く人もいる。亜理紗は症状が重い方の人間だ、そして今日は2日目…一番つらい時だ。
「死ぬ…死ぬよこれ…絶対死ぬ…」
亜理紗は波紋を学ぶため、リサリサの元を訪れていた。そこには一緒に修行しているジョセフ・ジョースターとシーザー・A・ツェペリ、そしてスージーQもいる。
ここへ来てからまだ一か月と経っておらず、あまりにも過酷な修行のせいで生理の事を忘れていたが、突然すぎた痛みに修行中にも関わらずその場に座り込んでしまったのだ。事態を察したリサリサとスージーQはすぐに休むようにと自室へ連れて行ったのだ。
「ああー…また足引っ張っちゃうなー…まいったまいった…」
ただでさえ女で力が弱いのに、と自分が女であることを少し後悔する。
コンコン
ドアを小さくノックする音が聞こえ、上半身をおこして返事をする。控えめに開かれたドアからはジョセフが顔をのぞかせていた。
「…め、珍しいね、こっちにくるなんて」
「いやあ、いつも元気な可愛い可愛い妹分が体調不良だろ?心配せずにはいらんねーだろ…」
その場には一緒にいなかったジョセフなので、どうしていきなり体調不良になったのだとか知らないのだろう。シーザーはたまたま通りかかったときに事態を把握してくれたらしく温かいミルクを持ってきてくれたのだ。