第11章 重症患者 花京院
そして現在に至る―
「に、にしても、着替える姿に興奮するって、…不思議だね」
「普通じゃあないのか?」
「…変な言い方だけど、裸とかじゃないところがなんていうか」
いや、僕なら亜理紗の裸を受け入れることはできるが。
何故だかよくわかっていないんだ、裸を見たい、というよりは着替えるという行為に対して酷く興奮を覚える。その脱いだものが欲しいとか、そういうのとは違う。
「でも…そのさ、窃視症っていうのはいつでも出るものなの?」
「いつでも?」
「……私、いがいとかさ」
そこを心配する所だったか。まさかそこを心配するだなんてちっとも思っていなかった。
だって僕は誰よりも何よりも亜理紗が好きなんだ。好きな人の行為ならなんでも好きだけど、ただその中で僕が一番しっくりきたのが『窃視症』だったというだけだ。
亜理紗以外にはなんども試してみたが何とも思わなかった。
「まさか、興味ないよ」
「よ、よかった……じゃなくて!早く治してよ!恥ずかしいんだからっ」
なんだかんだ言って嬉しそうに笑っている亜理紗を僕は見逃さなかったよ。
「で、その靴下いつ脱ぐんだい?」
「えっ」
布で隠されていた白い肌が徐々に見えていくのは本当に好きだ。亜理紗の肌は綺麗だ、真っ白な雪よりも輝いて見えるほどに綺麗。
「ほ、ほんと変態だよね…」
とか言いつつも渋々脱ぐ様を見せてくれる亜理紗も亜理紗だと僕は思うよ。
普通だったらそこで突き放すものだと考えていたんだが。
「体育で着替える時あんまり見ないでよ」
「それは聞けない願いだね」
だから言ったろ、無防備に着替えている亜理紗が好きなんだって。
END