第9章 メモリーブック 空条
「ふ、不法侵入ですし…その警察に突き出される覚悟はしてきたんですけど…」
「そんな事しねぇよ」
第一、とお話を続ける。
「誰にも話す気はないだろ、俺の幼少時代の写真の事なんて」
「え、も、勿論です!」
「だからいい、まあアルバムを勝手に見られたってのは少し気に食わないがな」
ぎゃああやはりそうですよねぇ!すみませんすみません!!
私はまたペコペコしだした。うん、だってこれしか許してもらえなさそうなので…。
「変な女だな」
普段は女子生徒に向けないような困ったような笑顔をした。あれ、っていうか空条君ってもっと冷たい人間だと思ってたんだけど、こんなに話をする人なんだね知らなかったですよ。
「どうした」
「えっ、いや~…イメージ違うなって」
「よく言われるぜ」
ありゃ、ため息をつかせてしまったわ。それにしても空条君本当に大きいな。私が座っているからかもしれないけど、いや噂では195㎝とか聞いた気がしたぞ、いやあもうなんか大きいっていうか壁?
「はッ、わ、私そろそろ帰らなければ!」
このまま滞在していてもかまわないんだけれど申し訳ないっていう気持ちが今更湧き上がってきたのでお暇しないと…うん…。
「そうか、じゃあな」
「また来ます!また覗かせてください!」
…ハッ!何を言っているんだ私は!!またアルバムが見たいとかいう気持ちが先走って口を滑らせてしまった!いやでも見てみたいし!!ああああなんてことをしてしまったんだ馬鹿してしまったもう一度見たいならアレだよ私また侵入してくればよかったのに
「…今度はちゃんと玄関から来いよ」
「くッ、空条君…!」
そんな空条君の顔はアルバムでみた天使のような微笑みと重なって見えた。
END