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ジョジョ短編集

第7章 軟派ボーイ シーザー




「あなた、相当暇なのね」

「暇って言い方はないだろ?俺は亜理紗に会うために来ているんだ」

「はいはい、そりゃあどうも」

俺は5年前、この町の裏道で真夜中天使と出会った。
天使の名前は亜理紗、天使と言っても純白の羽が生えているわけでも頭の上にあの金色の輪っかを浮かばせているわけでもない。俺にとっての天使という意味だ。

「で、何人の女の子を泣かせてきたの?」

亜理紗は容赦のない口ぶりで俺の事を責めたてる。呆れたというような顔で少し笑った横顔がとてもきれいだ。美術館に飾られていても可笑しくはないと思うほどに。

「まるで俺が悪人と言いたいようだな?」

「女の子にとってあなたは悪人よ、シーザー」


初恋の人は亜理紗だった。それまでに女性と付き合ったことはないのかと聞かれればそんなことはないさ、俺だって男だ。何度も付き合い別れてきた。だがその中に゙本当の恋゙は存在せず、ただ俺は暇潰しの為だけに付き合っていただけだった。
だが5年前、運悪くマフィアだと言い張るでくの坊に銃弾をお見舞いされた。それは肩やわき腹に当たり治療をしなければそのうち失血多量で死んでしまうようなものだった。だから俺はその時、自分の死と対面しようと覚悟さえしていた。
だがその時、亜理紗はやってきた。

「ちょっと、あなた、何して…」

俺を見るなり顔を青ざめさせ、綺麗な白いハンカチを傷口に当て止血を施してくれた。そんな事をさせるなど恥ずかしいと感じた俺はすぐに拒否をしたが構わずに押し付けてくる亜理紗を見て、俺は何故だか酷く恋しくなった。

「な、…まえ、を」

「…亜理紗よ、ハンカチなら返さなくてもいいから、人を呼んでくるからじっとしていてね」

そういって亜理紗は人を呼びに行きそのまま戻ってこなかった。
気が付いたんだ、俺は恋をしたんだと。そうして誓った、必ず再び会いまたあの天使に触れるのだと。





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