第5章 私のモノ 空条
そこに乱入者が現れる。なんでも承太郎や花京院と一緒に行動していたポルナレフとかいうヤツだ。彼は学生ではないが精神年齢こそ学生、いや、それ以下かもしれない。
「なぁにをそんなに争ってんだよ」
「承太郎はどっちのモノかって言ってるの、まぁ当然私のだけどね」
「何度言ったらわかるんだ、承太郎は僕の大切な大切な友だ、親友だぞ」
「残念ながら親友は幼馴染っていう壁は越えられないんですぅ~」
するとポルナレフは承太郎の肩を抱いて素晴らしい笑顔で言い放つ。
「承太郎はな…俺のだ!」
「黙れポルナレフ、君のじゃあない」
「そうよ承太郎はアンタなんかのものにならない」
可哀想なぐらい罵るとポルナレフはどんどん小さくなっていき、遂には体育座りでのの字を書いてしまった。ぼそぼそとそんなに言わなくたって…とか聞こえるが今はそんな事に耳を傾けている場合じゃない。
「私は承太郎のどんなことだって分かるんだから!体のどこにほくろが何個ついているかだって髪の毛を切れば何ミリで切ったかもわかるし痩せても筋肉の質は落ちないとか笑ってできるえくぼの深さだって足の形も分かる!花京院にはわからないでしょう!」
「じゃあ亜理紗は承太郎が何で長期間学校を休んでいたかを知っているか?」
「えっ」
それを出してくるなんて卑怯だ。承太郎に聞いてみても答える必要はないとか、大したことはないとか言って聞かせてくれないのを知っているのに。
とても不愉快だが、とてもとても負けを認めたくないが、こればかりは答えられない。
「…その辺にしとけ」
承太郎がため息をついて私の頭を撫でまわす。
「俺が大切なのは誰でもねぇ、俺自身だ」
そう言って先に歩いて行ってしまった。死にかけているポルナレフは未だに落ち込んでいるし、隣で唖然としている花京院にはざまみろって言いたいし、今日の空は綺麗だし、承太郎は承太郎だったし。
なんだ、休んでいてもかわらないじゃない。私の大好きな承太郎で安心した。
END