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ジョジョ短編集

第24章 Fire flour 空条




今年の夏はどこかの誰かが冷夏だとか言っていたから期待していたんだが、なんだ、今年は去年よりも蒸し暑い。

『もうそんな時期だねぇ』

「ああ」

アメリカへと旅立った俺は学生時代仲が良かった唯一の女友達と電話をしていた。日本では気温がもう40℃近いなんて聞いて眩暈がする。こっちは冷房がきいている過ごしやすい部屋でゆったりと仕事をしている。うちわを仰いでいるのか風の音が電話越しに聞こえる。

『そっか、夏祭り…』

最後に亜理紗と一緒にいったのはいつだったか。その時は着慣れない浴衣を互いに見比べて苦笑いをしたのをよく覚えている。「なんだか落ち着かない」と二人で声を合わせた気がする。
そう、日本では夏祭りの季節だ。あのきらきらとした屋台だとかざわざわとする人の声、それが懐かしく感じる。もうあのころには戻れないということがよくわかる。
俺は自分の夢を追いかける為にアメリカへ行った。そこには勿論、夢に近づける為の設備が整っていて日本との違いに感動した。珍しい図鑑やら機器の数々…物珍しさに俺は舞い上がっていた。

「行くのか?」

『まさか、そんな歳だとおもう?』

「それもそうだな」

もう互いに随分大人になった。だからこうして過去を振り返りながら電話ができる。
アメリカへ旅立つと亜理紗に言った時、引き留められた。最後の最後までアイツは笑顔で見送ってくれなくて飛行機の中でその顔を思い出しながら乗ってしまったことに酷く後悔していた。だがそれをも糧にして夢をかなえなければなんとする、顔合わせなんぞ絶対にできるわけがない。だから俺はやれることをやって夢に一歩でも近づこうとした。

『ねえ承太郎?』

「あ?」

『もし、綺麗なあの花火が超巨大な爆弾だとするよ』

何言ってんだ、爆弾も同然だろ。
そう言うと違くてねと呆れたように言うのが解る。

『全部爆破させちゃう、もうそりゃあおっきい規模の。』






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