第23章 Take a siesta. ポルナレフ
「えっ、何で消しちゃうの」
「メシ食ったら眠くなっちまってよー」
「えぇ…毎回そればっかり!眠くなるような料理なんて作ってないんだけどなあ…」
亜理紗のメシは最高に美味いから、ガンガン食っちまう。だから満腹になってすぐに眠くなる。
仕事場で食うメシも不味くはないが亜理紗の作る飯には劣るな。研究熱心の亜理紗は今迄に一度たりとも同じ料理を出してこないんだ。たまに失敗作もあるけど。
「まだお昼なのに…」
「いいじゃあねーか」
一日がもったいないでしょーと俺の手を引くがそんな非力なんじゃあ止めることは出来ねーぞ。眠ィんだもんしょうがねえ。
「あー…こういうの、いいな」
「もう、……絶対週末フルーツパークいくんだからね」
「わかったわかった」
「ちょっとー」
抱き枕を抱きしめるかんじで亜理紗を抱きしめると、気持ちのいい石鹸の香りがした。いつも使っている柔軟剤のキツくない香りとシャンプーの花のような香りが混じっている。それが眠気を引き立たせて思わず亜理紗の髪の毛に顔をうずめた。
「くすぐったい!」
「あーすまん」
「思ってないでしょ…」
それに返事をしようと思ったが、本気で寝てしまいそうだ。
昼のあったかい陽気と亜理紗と一緒にいられるという安心感ですぐにでも夢の世界に引き込まれていく。
亜理紗はようやくあきらめたのか俺の腕の中にゆっくりと身を預けた。
「お夕飯考えてない…」
「たまには外で食おう、そしたら考えなくていいだろ?」
「んー…わかった」
おやすみ、とどちらからともなくキスをすると瞼がゆっくりと落ちてくる。
ああ、幸せだな。
そんなことをかみしめながら夢の中で亜理紗と手を繋いだ。
END