第1章 止められない現実
ジェットコースターを降りると二人の間には気まずい空気が漂っていた。
「蘭…?」
新一がそう問いかけるも蘭からの返事はない。よく見ると蘭の目には涙が溜まっていた。
「…何で?新一は私のこと嫌いなの?!」
突然、蘭が新一の方を向いて震える声を必死で抑えて言った。
「そ…っ…そんなわけねぇだろ…」
小さな声で新一は答える。
「じゃあ何で私の手、離したりしたの?!…私たち恋人でしょ?!手ぐらい繋いでもいいじゃない…!!」
蘭の目からは溢れきった涙が滴り落ちた。
「ご…ごめん」
「いっつもごめんばっかりで!私、新一のことずっと待ってたのに!…やっと戻ってきたと思えば…。もういい!新一なんて知らない!」
蘭はそう言って涙を拭いながら走っていった。
「蘭っっっ!」
新一は叫んだが蘭の耳には届かなかった。