第4章 proof of life
ふと目を開けると、家族みんなのぐちゃぐちゃになった顔がぼんやりと見える。
あ……今まで見ていたのは走馬灯ってやつだったのかな?
何だか懐かしくて、心地いい記憶だったなぁ……。
そういえば、孝ちゃんの姿が見えない。
「孝、ちゃ……」
首が動かないからぐるっと見渡せないけど、居るならここに来て欲しい。
まだ、言えてない事があるから。
「孝……ちゃん」
右手が不意に暖かくなる。よく目を凝らすと、そこには今にも泣きそうな孝ちゃんの顔。
『……?』
孝ちゃんの口が私の名前を紡ぐのを見て、私は出来るだけ笑顔をつくる。
「孝、ちゃん……今までずーっと、いっしょに、いてくれて……ありがとう」
言いながら私の視界は揺らいでいく。頬に伝った涙を、孝ちゃんはゆっくり拭って笑ってくれた。
それは今まで見た孝ちゃんの笑顔の中で、一番優しいものだった。
ずっと見ていたかったのに、まぶたはどんどん重くなっていく。
「ありが、と」
この世界に産んでくれて。
私をここまで生かしてくれて。
孝ちゃんに会わせてくれて。
感謝します。
大切な家族に、大好きな人に見守られながら……
私はそっと目を閉じた。