第4章 proof of life
桜舞い散る四月――
私は中学三年生に進学し、新たな一歩を踏み出す……はずだった。
新学期最初の日の朝。
起き上がろうとしたら足に力が入らなくて、ベッドから降りる時にバタンと倒れてしまった。そこからは意識が遠くなって、気が付いたら真っ白な天井があった事は覚えている。
『原因不明の病』
医者から告げられたその言葉は全く実感が無くて、まるで他人の事のように聞き流していた。
それからというもの、私は病室に監禁状態。
まぁ、足が動かないのだから、仕方無いと言えばそうなるけど。
「~! 体調大丈夫か?」
一人ぼっちの真っ白な部屋の中、私にいつも光をくれたのは幼なじみの孝ちゃん――菅原孝支君だった。
いつも勉強や部活で忙しいはずなのに、時間を見付けては私の部屋に足を運んでくれる。
それが日常になり、私の楽しみになった。
「今日は体育の授業でバレーがあってな~」
孝ちゃんは来るたび、その日学校であった事を話してくれる。
それはため息ばかりで埋もれそうになっている部屋に、新しい風を入れるように私の気持ちを軽くしてくれるものだった。