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審神者と刀剣と桜

第8章 演練


「はい!」

 と、嬉しそうに笑顔を見せた。
 五虎退は大人しく、正座してウチが食べ終わるのを待っていた。ちょこちょこ話しながら。

「五虎退、いる?」

 障子の向こうに、四つの影が映し出された。その中の一つは声だけで分かった。

「は、はい、います。」

 五虎退が返事をすると、閉めていた障子が開かれて見慣れた青年が入って来た。

「起きたんだ。」
「さっき、目ー覚ましたばっか。」

 部屋に入って来たのは、加州。その後に続いて、意識を失う前に手入れをした三振りがウチの部屋に来た。

「後は俺がやるから、五虎退は皆と風呂に入って来な。」
「え、良いん…ですか?」

 良いよ。加州が優しい声音で言うと、一瞬、戸惑う素振りを見せてから、ウチと加州に一礼をして虎達を連れて部屋を後にした。

「…うどんにしたけど、食べれた?一応、アンタの体調を考えて、消化の良い物にしたけど。」
「食欲は…無かったけど、食べやすかった。加州が用意してくれたんでしょ?有難う。」

 あ、そう。素っ気なく言うと、ウチの隣に腰を下ろした。

「あの!体調は、よろしいですか?」

 加州の後にいた三つの人影の内、乱とはまた違ったピンク色の癖のある髪型の少年が、話しかけてきた。
 まさか、話しかけられるとは思わなかったから、吃驚してしまった。

「も、申し訳ございません…。」
「あ、いや、こっちこそ驚いて、ごめんね。嫌だからそんな反応したわけじゃないよ!」

 少年は落ち込んだ表情から、一瞬にして笑顔を見せた。

「取り敢えず、この位の時間になれば、アンタの目も覚めると思ったから、新しく仲間になる刀剣を連れて来た。あの状態じゃ、自己紹介なんて出来やしないし、アンタは疲れて寝るし。」

 ごもっともです。冷めた視線を向けてくる加州から、視線を逸らして項垂れた。

「清光、もう大丈夫?」
「良いよ。」

 加州に確認をとってから、誰かがウチの近くに腰を下ろした。寝る前にインパクトが強すぎて、覚えていた。

「えっと…土方歳三さんのーー、」

 そう、土方さんの愛刀の一振りで。ここまでは思い出した。でも、どの刀種なのかは覚えてない。
 必死に思い出そうとしていると、土方さんの愛刀はクスッと笑った。

「脇差だよ。」
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