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審神者と刀剣と桜

第2章 加州清光


(しゃ、喋った!?)

 遥か下にいる黄色の物体は、お座りしてこちらを見上げている。

「お待ちしておりました。」

 立ち上がりお辞儀をしてくる。呆気にとらわれながらも会釈する。多分いや絶対、間抜けな顔をしてるよウチ。

「私の名は”こんのすけ”と申します。貴女様と政府とを繋ぐ、貴女様だけの使いです。」

 丁寧な口調でウチの専属の使いとなる狐は話す。いや、使いなんててっきり、人間かと思ってたのに。狐なんて定番のチョイス過ぎて…。
 淡々と話す黄色とは対照的に困惑していた。

「千隼様をこれから、貴女様だけのお屋敷--”本丸”へご案内致します。」

 ”本丸”までの道中、この空間についてお話致します。そう付け加えてながら、こんのすけは歩き始める。

(ていうか、屋敷なんてあんの!?)

 ウチもこんのすけを見失わないように、歩き始める。ただ、大きな荷物が邪魔なのと土だからキャリーケースが進まなくて、歩くのに若干苦戦していた。

★★★

 林というか森みたいな所を突きぬけたら、一気に視界が眩しく広がる。
 崖の上にいる。下は京都にあるような昔の(江戸時代位の)街並みが広がっている。

「この下の町は全て、生活に必要な物等が売られているお店で成り立っています。」

 という事は、そこで足りなくなった物を買えばいいって事なんだね。
 こっちです。こんのすけはそう言ってどんどん進んでいく。

「ちょ、待って!」

 もう、ついて行くのに精一杯です。

★★★

 着いた先は、崖の上で見た町がある場所なんだけど、その町から歩いていける距離で離れている所だった。
 この場所だけ何か雰囲気が違う。
 さっきまではなかった、桜の木があちらこちらにある。風にそよいで、花弁が優雅に舞う。
 この世界は今の所大きく分けて、五つの国に分かれているらしい。審神者の収容人数に限りがあるからこれ以上に国が作られるみたいだ。こんのすけが話してくれた。
 ウチはその五つの中の”山城国”--今で言う京都に当たる国に配属された。

「ここが千隼様の本丸です。」

 目の前にはなんとも立派な昔ながらの日本家屋だった。その屋敷の隙間から見える庭らしき所も終わりが見えない。

 どんだけ広いんですか!?この敷地!!
 
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