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審神者と刀剣と桜

第5章 今剣 そして、二度目の出陣


 何だったんだ…。
 起き上って、加州が出て行った扉を少しの間、呆気にとらわれながら見ていた。
 髪なんてアイツのおかげでぼさぼさだ。両手で髪の毛を梳きながら整える。
 その束の間、くらっと眩暈が起こって、直ぐにまた横になる。

『鍛刀では、力を使います。』
『慣れるまでは時間を置くか、鍛刀する数を減らす事をお勧めします。』

 こんのすけがさっき言っていた言葉が、頭の中に流れる。
 仲間の数を増やすにはウチの力やその他諸々が必要。でも、自覚したのはある意味昨日だ。

「早く、仲間増やさないと…。」

 敵がどれ程の規模か知らない。それに加州が言っていたように、一騎当千なんて実際には出来やしない。

「それに…。」

 枕元に置いておいたスマホを手に取る。そこから、lineを開いて”高塚天音”と言う名のトークを開く。

「君に会ってみたいんだ…。」

 スクロールしていけば、何枚か写真が載っかっている。その中に、ウチの親友の”高塚天音と一人の青年が肩を組んで、ピースサインしているのがある。
 天音はウチよりも一週間早く、審神者になった。仲良くなったのは高校二年生になって少ししてから、二次元関係で仲良くなった。

【これ、見てよ!】

 彼女が審神者として行ってしまった数日後、突然lineで話しかけられた。何事と思って開けば、その写真が載せられていた。

【どうも。どうしたん?】
【沖田さんの愛刀なんやで!】
【マジで!?】

 沖田さんーー沖田総司の刀と彼女に言われた刀は、人の形をとっていた。あれが初めて人になった刀を見た瞬間だった。
 彼は、ポニーテールに髪を結び、羽織を着た和装だった。その羽織は正しく、新撰組が着ていた浅葱色の羽織だった。少し垂れ目で、左目の下には泣き黒子がある、本当に端正な儚い感じの青年であった。
 彼女はウチが沖田総司が好きなのを知っている。きっかけは某鬼と絡めた乙女ゲームだけど。だから、送ってくれたんだろう。
 会ってみたい、話してみたいって思った。
 その時から、審神者に成れたらーー、

「”大和守安定”を仲間にしたいって…。」

 思っていたんだーー。

 いつの間にかウチは寝息を立てながら眠っていた。スマホの画面はいつしか真っ黒になった。
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