第5章 今剣 そして、二度目の出陣
どの位、寝ていたのだろう…。お腹に何かが乗っかっている感覚がして、重くて起きる。
「あるじさま!やっとおきた!!」
なんどもよんだんですよ?両頬を膨らまして、不機嫌そうに言う今剣。うん、可愛い。
頭はさっきまでとは打って変わって、スッキリしてはっきりしている。
「加州がごはん、つくりました!」
「そんな時間になってたんだ…。」
有難うとお礼を言えば、今剣は加州の名を呼びながら、おそらく彼の所に行ったのだろう。
時計を見れば、昼の一時過ぎ。丁度お昼の時間だ。
スマホを片手に居間へ足を運んだ。そこには、丁度皿を運ぶ加州と今剣の姿が目に入った。
「お早う。」
「お早う御座います。」
頭を下げながら、居間にある机の前に座る。目の前には炒飯らしき物がある。所々白い小さな破片が見える。
「ぼくもがんばったんですよ!ほめてください!!」
満足げに話す小さい新たな仲間。加州は眉間に皺を寄せている。
「何が”簡単に出来る”だ…。全然簡単じゃねーじゃん…。」
「本当に有難う御座います。」
土下座する勢いでお礼を言う。彼は「別に…。」とそっぽを向いた。
卵を割るのが難しかったのかな?ウチも今は簡単に出来るけど、始めは難しかったから、気持ちは分かる。簡単そうだから炒飯を作ったのかな?
今剣の話を聞きながら、三人でお昼ご飯を食べた。
★★★
「ねえ、ちょっと来て。」
作ってくれたから、洗い物はしようと洗い物をしていた。それが終わった頃、加州に呼ばれた。
「何…?」
「いいから。」
それだけ言って、そそくさと行ってしまう加州。訳が分からず、ただ後ろを付いて行く事にした。何処を目指しているのか全く見当がつかない。
「何処に行こうとしてるの?」
「着いてから。取り敢えずはアンタも知ってなくちゃいけないから。」
顔を少しだけ逸らして後ろにいるウチを見る。
知らなきゃいけない事?加州が何をしたいのか解らない。
本丸の本堂を出て、外に行く。今日初めて外に出たから、太陽の光が眩しい。そこから進んで行くと、一つの建物に着いた。加州が突然止まるから、その背中に激突する。
「痛っ。」
思いっきりぶつけた鼻筋を摩る。
彼は、目当ての建物の扉を黙って開けた。引き戸が開けられウチの目にも部屋の中身が見える。
そこには鏡が置かれた祭壇があった。
