第1章 刀選び
「守りたいとは思わないかい?」
向けられる顔は笑顔が張り付いてる。目が笑ってない。
「思いますけど…、」
出来ません。そう続けて紡ごうとした言葉を遮るように、「なら、」と、被せられる。
「”審神者”にならないか?」
始めに出された台詞がまた出される。その声音は有無を言わさない威圧感があった。
審神者として向かう所は、大体歴史上で有名な戦が大体である。自分が目覚めさせた物が戦うにしても、命の保証なんてない。
「これは未来の君や私たちや祖国に関わるんだ。だから…、」
★★★
「大体の話はしましたが、念のために明日使いを送ります。貴方だけの使いです。」
昨日の事を思い出していたら、殆どの話を聞き流してしまった。自分の命にも関わるのに…。
「はい…。」
取合えず返事をすると、和服のおっさんはため息をつく。
「しっかりして下さい。全国民の命や190年後の未来が係っているいるんですから。」
ここまで一言も喋らなかったスーツの若い男が喋る。
この様な事をやっている政府の機関のお偉いさんは、今から190年後の2205年から来た人らしい。
未来が変わり本来の未来で無くなり、直す為、審神者が多く現れる事が解った2015年に来たらしい。
本当なのかなんて判らないからどうでもいい。良くないけど。
学校に来た人は、その対策本部のお偉いさんだった。
(否応なしに行かせられるのか…。)
まだ退屈な毎日を過ごす方がマシだ。しかも強制…。
★★★
「ではまた明日お迎えに上がります。審神者様。」
殆ど覚えていない説明の後、政府からの二人組に家まで送られた。そこまでしないと行けない所に明日も行く。
「お帰り千隼。」
黒色のベンツがいなくなった瞬間、玄関が開いてお母さんが顔を出した。
ウチが”ここ”にいるのが今日で最後になる。家の駐車場にはお父さんとお母さんの車がある。両親はいつもは共働きだ。
家族の顔を見るのも、今日で最後だ。
政府はウチに学校で話している丁度その時、別の人を送り両親に話していた。態々それぞれの仕事場まで訪ねて。だから審神者の件も知っている。
どうにかして辞めて貰える様に言ったが駄目だった。”行く”それしか無かった。
「ただいま。」
ウチは明日、”ここ”では無い異空間に行きます。