第4章 初鍛刀
翌日、すんなりと起きれた。頭の中がはっきりとしている。こんなの久方ぶりだ。
起き上れば、見た事のない和風の部屋。畳の上に敷かれた布団の上にいた。
(そういや…審神者として次元の狭間に幽閉されたんだっけ…。)
昨日の事を思い出して、自分のいる所を理解する。
あの後、自分がまだ知らない事を、加州から馬鹿にされながら、教えてもらった。
この世界は、<次元の狭間>と言って、現代と過去、もしくは未来や別次元に繋がる空間の狭間だという事だ。そして、審神者として選ばれた人はここに終わるまで閉じ込められる。
『”幽閉”って言ったって可笑しくはないね、アンタが置かれた状況て奴は。』
どれもこれも、加州達が置かれていた始めの部屋で、政府の関係者の会話から聞いた情報だ。なんて言ってた。
「お腹すいた…。」
朝から考えるのが嫌なのと、朝ご飯を食べる為寝間着のまま台所へ向かった。
広く長ったらしい廊下。廊下は屋敷内で窓が無い為、薄暗い。でも、そこまで暗くないから明かりを付けずに進む。
進んだ先に台所があるんだけど、明かりが付いていた。昨日消し忘れたのかな…明かり…。
疑問に思って、覗いてみれば人影があった。その後ろ姿は昨日いっぱい見た姿だった。
(加州が台所にいる…!?何で!!)
そこにいる人物に驚きを隠せなくって、口を手で覆った。
よく見れば、何かをしている。何かを握っている仕草ーー、何か作ってるの!?
この光景に、思わず声が漏れる。加州に対しての第一印象のイメージに似合わない事をやっているのが、なんか恐怖を感じた。
こっそりと影から覗いて見てみる。こちらの気配に気づいてないのか、それとも作る事に神経が集中しているのか気づかれてはいないぽい。
「あッつ!人間って、よくこんなのーー、」
何やらぶつぶつ独り言を言っているようだ。どういう事に文句を言ってるのかは知らんけど。
でも、この独り言と動作から、一つの答えにたどり着けた。
(もしかしてお握り作ってんの?何で!?)
よく見たくて体を乗り出してみる。そのおかげでやってしまったんだ。
「あ、ヤバ…。」
ギシッと床が軋む音が響く。響いたんだから当然ーー、
「げッ…。」
加州の耳にも届いていました。
振り向いてウチを見た時の目は、とっても冷たくて、怖かったです。