第3章 初日終了
「結論を言うと、信じるも信じないも貴方次第って事。どうしてあんな質問をしたのかは聞きませんけど、これでも好きな物は長く使う派なので、そこの所は覚えてて下さい。」
一時中止していた食べる事をまた始める。目の前の刀は動かない。静かさだけが、ウチ等を包む。
取り敢えずは食べ終えよう。まだ、やんなきゃいけない事が多いから。
★★★
数分もしない内に視界にあったウチの皿の上の物は、消えた。全て(自分の分)は自身の腹の中だ。
両手を合わせてご馳走様をし、食器を台所へ運ぶ。
「…ご馳走様。」
彼も同様に終わったらしい。この季節にしては冷たい水に触りながら聞き耳を立てる。
黙ったままだったけど、ウチが食べるのを再開したら、彼も食べ始め静かな状況でいた。
水が冷たいです。コレ、地下から直接、くみ上げてるのかな…水道の水。眉間に皺を寄せながら、洗い物と格闘していく。
脇の方から、もう一組のウチが使っていた食器と同じ食器が出て来た。
「お願いします。」
やっぱり、加州清光だった。いや、彼しかウチ以外ではいないから、当たり前じゃん。
無言で頷いて食器を受け取る。出したんだから、何処か行くんだろうなんて思ってたけど、気配がまだいた。
「あの…何で此処にまだいるんですか。」
ただ純粋に疑問を口にした。でも、聞いた人によってはマイナスのイメージで取るだろう。ウチも言われたら、イラッと来る。でも、言葉にするのに、コレしか出なかった。
語彙能力が無さすぎる…。
「別に、何処に居ても良いだろ?他の部屋なんて知らないし。」
さっきまでの態度は何処に行ったのだろう。太々しいというか…これは違うか。何とも自分の言語能力では現せれない。
だが、一つ分かるのは、ウチの言葉でイラッとしてる事。済みませんでした!!
顔が見れなくて、背を向けたまま黙々と作業をする。後、数枚水で濯げば終わりだ。そんな時だった。
「俺は、一度捨てられた。」
突然の発言に、持っていた茶碗を落としそうになった。ちゃんと、手で持ってます、落としてませんよ。
「な、え!?」
「戦って、相手の刃を受けて、相手の肉を切って、しっかりと”あの人”の為に仕えていたつもりなのにーー、」
捨てられた。唐突に始まった彼の話に、目を丸くするしか出来なかった。