第3章 初日終了
今、どうすればいいか迷っていた。
早く、手当してあげたいのに、ウチの肩に額を当てながら寝ている。動かすにしても、力を加えなければいけない。絶対そんなことしたら、酷い事になる。
「どうすりゃ…。」
固まったウチの所に、こんのすけが来るのが見えた。
「手伝いますか?」
「お願いします。」
こんのすけに手伝ってもらい、加州清光を横にした。相当疲れたのか、深く寝ているようだ。だって結構揺らしてしまったのに、起きなかったから。
さて、手当を始めるか…。ここへ来る前に説明された時、貰った木箱から、打ち粉や手入に必要な諸々を出す。
「手当って…、」
体を否応なしに見ないといけないじゃん!駄目だ!ウチには刺激が強すぎる…。
許されたのか知らないけど、それでグチグチしている暇なんてない。頭を切り替えた時だった。冷静になり始めると、改めて思う。
「手入の仕方は解りますか?」
「なんとなく…。この打ち粉ってやつを傷口に当てるんだよね。」
出した打ち粉を手に持ち、こんのすけを見やる。打ち粉の丸い部分を触ってみたけど、固かった。これを傷口に押し当てるなんて、想像しただけで痛い。
「合っています。ただ、手入の際は相手の体を見ますが…、大丈夫ではなさそうですね。」
始めの所で理解したんだろう。あんな反応すれば相当鈍い奴でなければ分かる。素直に頷く。
「本来はそうしないといけませんが、二つあまり体を見ずに手入する方法をお教えします。」
こんのすけはまた不思議な動作で、木の板を出してきた。それをウチの前に差し出す。
「これは?」
「”手伝い札”です。」
木の板にはしっかりと”手伝い札”と彫られている。
「これをお使い頂くと、式神が現れ、貴女様のお手伝いをします。よって、すぐに治されたい場合はお使い頂く事をお勧めします。」
今回はこちらの方法で。という事で、札を貰った。まだ幾つかあるらしい。
「もう一つは、人間から刀に戻して手入をする事ですかね。こちらは力に慣れていなければ、出来ないので今回は無しです。」
そして、人間のままで手入れをする。計三種類の方法があるらしい。
札は使う事を宣言すれば、自動で式神が現れる仕組みだ。教えて貰った通りに宣言すれば、人型の小型な式神が現れた。
「では、手入を始めましょう。」