第2章 加州清光
これから、一緒に戦ってくれる仲間なんだから、礼儀ぐらいはと思い、名乗った。そうしたら、
「うわッ…チビだな…。ああ、だからか…。」
見上げているウチに対して、見下ろしている加州清光。何気ない一言だったのかもしんないけど、その一言は、ウチの逆鱗に触れるには十分過ぎるものだった。
「あー。川の子です。加州清光。扱いづらいけど、性能はいい感じってね。」
まあ、宜しくね。主様?表情があんまり変わってない、無表情に近い顔で、とりあえずは名乗ってくれた。
本当はいい奴なのかもしんない。そうじゃなかったら、名乗らないし。頭では理解した。
でも、心はそうじゃなかった。コンプレックスに触れられたから。
「ねえ、俺を扱うならちゃんと大切に扱ってよ。折角可愛くしてるんだからさ。」
初めて見せてくれた笑顔で、そんな事を言い放ってくれた。付け加えて、「背が、小っちゃいんだし。」と。
これらの発言に、ついに我慢の限界が来た。ウチにとって、チビと言われるのは、嫌な事。それは相手は知らない。だからしょうがない事。なのに、この時のウチはそんな事頭にはなかった。
(コイツ…。人が気にしてる事を思いっ切り…。)
ムカついて、下を向いてワナワナ震えていた。小っちゃい事がどんだけ辛いかなんて知らないくせに…。しかも、ここまでアンタを運ぶの大変だったんだつーのに!
「ふざけんなよ…。」
「何?」
本当に我慢の限界で、これでもかと思うぐらいの低い声で、呟いていた。相手は何かを言った、ぐらいは解ったらしい。
「ふざけんな…って、言ったんだよ!!さっきから、人が気にしてる事を…。何?可愛くしてる?ナルシストかよ、テメーは!!」
もう一回言ってやった。今まで、下を見ていたのに、急に顔を上げたから相手は驚いて、目を見開いている。
ウチは見上げながら、睨み付けている。短気なのは重々承知だ。これでも、最近は短気では無くなったに…。
「なるしすと?何それ。何解んない事言ってんの主。っていうか、突然怒り始めるって…。これが新しい主なんて愛してくれないじゃん…。」
あーあ、最悪。と言って、溜息をついてウチの部屋から何処か行こうとしている。
(こっちだって、ナルシストな刀剣だったなんて…。)
「こっちも、最悪だ。」