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あいことば

第1章 あいことば





「同時にね、物凄く疑っちゃって。後々知ったんだけど、黄瀬君モデルもやってるでしょ?この間雑誌とか見たら、すごく格好良くて。住む世界が違うんだなぁって感じたの。」
「そんなこと、」
「黄瀬君の気持ちを疑ったわけじゃないよ。たぶん、私自身の問題なんだと思う。こんなに格好良くて素敵な人が自分なんか選ぶわけない。そんな卑屈な考えもしちゃったりして。歳を重ねるたびに疑心暗鬼になっていく自分に余計自己嫌悪しちゃったり。だめだねぇ…。」
「…中山さん…。」
「年齢の事もね、考えたの。だって6つも違うんだよ?決して小さいとは言えない差だよね。しかも、相手は高校生。下手すれば私捕まっちゃうし。世間がすべてじゃないけど、自慢できる関係じゃない。」
「…………。」
「……でもね、」

俺の方を少しも見ないで、無理したように中山さんはわざと明るく語り出した。俺が思っている以上に中山さんは真剣に考えて、悩んで、自分を責めることまでしてくれた。 中山さんの気持ちはわからないわけでもないし、的を得ていないわけじゃないから俺も自然と目線が下がる。やっぱり…。そう思って、つい否定的な言葉が飛び出しそうになった時だった。


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