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体力の代わりに

第2章 体力


ああ、まただ。
やっぱりだめだったか。

足の力が抜けて、はっきりとしない意識の中、
私はそんなことを考えていた。

目の前はぼやけている。

それでも先輩三人と、追い出されたはずの
日向くんと影山くんが心配してくれているのは分かった。

『だ、大丈夫・・・です』

何とか声を絞り出す。



意識がだんだんと鮮明になってきて、
ゆっくり体を起こしたところで
菅原先輩が聞いてきた。

菅「月原、もしかして、表にあった車イス、おまえの?」

声を発するのは少しつらかったので、
こくりと頷く。

日「ああ、あの白いやつ!」

影「なんで車イス使ってんだ?」

『色々と・・・ね』

起き上がった直後から
体を支えてくれていた影山に、
あやふやな答えを返した。

澤「一人で帰れるか?」

そのことについて聞いてこないあたり、
これが先輩の優しさなんだろう。

『問題ありません』

菅「いやいや大地。そこは送っていかなきゃ。
  ってことで、送るよ、月原」

田「しょうがねえ、俺も着いてってやる!」

『あ、えっと・・・』

田「遠慮すんな!」

別に遠慮しているわけじゃ・・・。
でも、とりあえず、ご厚意には甘えておきますか。

『じゃあ、お願いします』

こうして私は、
二人の優しい先輩に送ってもらうこととなった。
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