第4章 クラスメイト
月島くんが早くも慣れた手つきで車イスを動かし、
私の右斜め前を山口くんが行く。
『ヘクチッ』
冬が過ぎたとはいえ、
春が来たと言っていいのか分からない気候に
くしゃみが出た。
山「月原さん大丈夫?」
『うん。やっぱまだ少し寒いね』
山「風邪引かないようにね」
『気をつけます。ありがとう』
山「いえ///」
山口くんは素早く背を向けてしまった。
それを気にするまもなく、
目の前を紺の物体が、下に向かって通り過ぎた。
『!!』
月「持ってて」
その正体は月島くんのかばん。
何故このタイミングで渡してきたのかは分からなかったが、
突き返すのも大変そうだと感じ、鞄を膝に置いた。
しばらくして、体に伝わる感覚が変わったことで、
車イスが芝生の上を通っていると分かる。
すぐに日向くんと影山くんが見えた。
月島くんも山口くんも、
歩く速度を変えずに足音を消した。