第1章 序章
煌帝国付近に存在する小さな国、深蒼(シェンツァン)。
そこは周りを山々に囲まれ、一部を海に面する豊かな国。
国の歴史は古く、国が出来王政が布かれて以来、心良き王が代々国を守ってきた。
王が民を想い、民が王を想う、争いを好まない平和な国だ。
現王の名を蒼 莉鎧(そう りがい)と云い、穏やかな性格の人格者として民に親しまれている。
そんな彼には息子と娘がいる。
名を莉駿(りしゅん)と莉蘭。
二人はとても仲が良く、幼い頃は何をするにも一緒だった。
絵を描く時も、本を読む時も、眠る時も。
莉蘭は、兄の武術や剣術の稽古の時間、勉学の時間までもくっついて回り、どれも兄に引けを取らぬ程の才能を発揮した。
然し、莉蘭には持病があり、莉鎧にとってそれは不安の種だった。