第8章 勇気
錦戸「アイツは、お前をジロジロ見てたし、俺が誰と一緒に居ようが俺の勝手やし」
錦戸さんは、私をとても大切にしてくれてる
それがたまらなく嬉しかった。
だから、余計に伝えたかった。
「本屋の店員は、本を売ってなんぼです!
本を売るのが仕事です、錦戸さんは?」
その言葉に彼の顔つきは変わった。
「私、錦戸さんを尊敬しています。私に仕事ってモノを教えてくれた人だから、だから錦戸さんの事を誰も誤解して欲しくないんです..素敵な人だから...」
私の言葉に彼は俯いた。
錦戸「プライベートも愛想をふれと?」
「ふらなくていいと思います..」
錦戸「いま、そう言ったやんけ!」
「ふらなくてもいいけど、魔法の言葉を使ったらいいと思います」
錦戸「魔法の言葉?」
私は得意顔で言った。
「ありがとうです!」
その瞬間、錦戸さんは笑った。
私は焦って付け加えた。
「だって、今のも、握手できないけど、ありがとうって言うと柔らかくなりません?」
錦戸「なるけど日本語変やろ?」
彼は笑いながら言う。
「....そ、そうですか?」
焦る私を見ると余計に彼はおかしいのか、笑いが止まらないようで笑い続けていた。
そんな彼を見ながら、私は自分に呆れていた。
上手く伝えられなかった不甲斐なさに....
すると、私の頭に手が伸びてきて優しく撫でられた。
錦戸「ありがとう....」
照れくさそうに、ボソッと彼は言った。
そんな彼に胸がきゅんと痛くなっていた。
錦戸「早よ、行こか?腹がめっちゃ減ったわ」
「本当にそうですね」
私たちは、二人で笑いながら店に向かったのです。
この時から、私は彼に真剣に向き合うようになってたのです。
どんな時も、後悔しないのように必死に彼に向き合い始めてたのです。