第1章 嫌な客
本屋に就職して、半年。
そろそろ仕事にも慣れてきたが、
自分の希望の仕事でなかった。
いつも、嫌々な気持ちが私の中にあった。
言われた仕事はこなしてた。
でも、それ以上はしなかった。
定時に帰宅した。
こんな詰まんない職場に早くさよならしたかった。
「.....あと、40分で帰れる」
私は大量の本を整理しながら、呟いた。
今日も何事もなく終わるはずだった、本来なら...
錦戸「なぁ、バイクの雑誌の場所はどこなん?」
突然、帽子にサングラスの男に声をかけられた。
「....えっと、雑誌なら...えっと確か...」
私はスッと答えられなかった。
錦戸「えっ、店の人やんな?」
強い口調で言った。
「....はぃ」
この人はこれだけの事で怒ってるのかと
不安になった。
錦戸「店の人が、場所分からんてさぁ
たるんでるとちゃうん?」
そう言うと、スタスタと歩いて行ってしまった。
私は唖然としていた。
えっ、ちょっと迷っただけじゃない!
なに、あの客!
仕事が終わった後も、着替えながらイライラしてた。
何で、あんな事を言われたんだろと
頭から離れなかった。
でも、思った二度と会うことはないし
もう気にしないって
私は、その時に気が付いてなかったのだ
その人は、あるアイドルグループの一人だったって
私は、誰もが羨ましがられる事になってたって...
この嫌な客と...