誰よりも君で。heiji×kazuha恋物語【名探偵コナン】
第6章 無心、無愛
in図書館
図書館へ行くとなぜか和葉のクラスの生徒たちが机の周りに椅子を並べて勉強していた。補習生徒が5、6人しかいず図書館は静かだった。平次は辺りを見渡して和葉を探した。しかし、和葉の姿は無い。
(まぁ。謝るんは帰りでもええか)
そう思い、平次は辞典を取りに棚と棚の狭い間をすり抜け辞典が並べてある書棚へと向かった。
「えーっと。漢和辞典はと…」
棚に隠れてさっきの補習生徒は見えず棚に光が当たっていないため手元が見えずらかった。
「あれー。漢和辞典どこにあんねん」
手探りで漢和辞典を探していた時、平次のいる棚のもう一つ前の棚から男のかすかな声が聞こえてきた。
「返事、聞かせてくれるか…?」
平次の耳に聞き覚えのある声。
(ま…まさか)
そう思った平次は棚と棚の間から声の主を覗き込んだ。
(やっぱり…!柊や。しかも、和葉とおるやないか)
平次が見た先には和葉と健人が立っていた。
「あ…返事な…。えっと」
和葉は顔を赤くして戸惑っている。
「俺のこと和葉は好きか?」
「え…。うん。でも…えっと…」
言葉を詰まらせている和葉に健人はそっと近付き、和葉の手を掴んだ。
「やっぱり、服部?何であんな奴のことなんか好きやねん。冷たい態度ばっか和葉に対してとりおってよ。俺は服部よりも和葉のこと幸せにしてやれる」
そう言って健人はさっきよりも和葉に近付き和葉の顔にそっと手を触れ唇をつけた。
(!?…)
それを見た平次は怒りに狂い思わず飛び出し、健人の胸ぐらを掴んで健人を和葉から引き離した。
「「なにしとんじゃあああああ!!!!!!!!!!」」
「はっ…服部?!何でお前…ここに?」
おびえた様子で健人は平次を見た。
「ふざけんのもいい加減にせぇよ!」
強い口調で平次は言った。それに対して健人も負けようとしない。
「ふざけてんのはどっちや!散々、和葉のこと悩ませやがって」
その言葉に平次は何も言い返せなかった。
「ほら。何も言えへん。お前は和葉の気持ちを何一つ考えてない」
「「ち…違う」」
小いさな声で平次は言った。
「何が違うんじゃ!」
「俺は和葉んこと考えん日なんて1日たりともないわいっ!正直に…正直に和葉に思いを伝えられんかった…。俺は…俺は、和葉が必要なんや!」
そう言って平次は健人の胸ぐらから手を離した。
「へっ…平次…」
それを見ていた和葉は泣きながら平次を呼んだ。