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Dye D? <番外編 丸山>

第3章 手


それから、彼は時々 この屋敷にやって来た。

僕に会いにか、子猫に会いにか...


少し生意気な天使は、
闇にしか生きられない僕の

唯一の太陽になっていた。


錦戸「なぁ、お兄ちゃん...」

部屋で寝そべり、猫の頭を撫でながら、
僕に話し掛ける亮ちゃん


丸山「うん、どうしたの?」

隣で腰をかけていた僕は返事をした。


錦戸「俺、男になりたいねん」


丸山「えっ?」


彼の言葉に、僕はドキッとした。

そんな僕を強い目線で見つめ

錦戸「俺、お兄ちゃんになんねん」


僕にとって彼の一言一言は、
とても微笑ましかった。


丸山「ふふっ、そうなんだ」


錦戸「やから、俺は男になりたいねん」

僕は彼の頭を優しく撫でた。

丸山「亮ちゃんは、もう男だよ」

錦戸「えっ、なんでや!」

亮ちゃんは、元気に僕に飛びついてきた。

僕は笑いながら、受けとめて

丸山「この猫を助けた時から、男だよ」

そう言うと、亮ちゃんは不思議そうな顔をした。

僕は、優しく亮ちゃんの頬を両手で包み

丸山「何かを守るのが男だから...」


僕の言葉に、亮ちゃんはニッコリと笑って


錦戸「ありがとう、お兄ちゃん」

僕も微笑み返すと

錦戸「お兄ちゃんのおてて、氷みたいだね...」


僕は、慌てて手を引っ込めた。


自分の正体がバレてしまっては、
もうこの天使と会えない気がしたからだ...

すると、亮ちゃんは
僕の震える手に自分の小さい手を添えて


錦戸「ママが言ってたで、
手が冷たい人は心が優しいって、
だからお兄ちゃんはめちゃくちゃ優しいんやね」

僕は、彼の言葉に動けなくなっていた。

自然に涙が溢れだし、落ちる涙を止める事が出来なかった。

それを見た、亮ちゃんは焦っていた。

錦戸「えっ、お兄ちゃん、どなんした?誰かに虐められとるん?俺がやっつけてやるで!」


丸山「....ううん、何でもないんやで...
お兄ちゃんが泣き虫なだけなん...」

そう言って彼を抱きしめた。

錦戸「そっか、なら俺が側にいたるからな!」

僕はこの可愛い天使を何時までも抱きしめ続けていた。

そして、この子とは離れたくないと願っていた。

たとえ自分が闇の者で、
彼と共に歩む人生でなくても...
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