第2章 子供
丸山「うん、どうしたの?」
錦戸「コイツを育ててくれへん?」
突然の願いに驚いた。
錦戸「俺、やっぱ子供やし、
まだコイツを守ってやれんから、お願いや」
意外と生意気なお願いの仕方に笑ってしまった。
丸山「いいよ...?」
永遠の命がある僕にとって、
猫を飼うなんて本当の気まぐれでしかなかった。
この小さい、小生意気な男の子が、可愛かったからだ
錦戸「ありがとうな、お兄ちゃん」
丸山「どういたしまして」
僕が微笑むと、男の子は嬉しそうに
錦戸「俺、亮って言うねん!」
丸山「じゃあ、亮ちゃんやね」
錦戸「おん!」
嬉しそうに微笑む亮ちゃんに、心が和んだ。
こんな時間は始めてだった。
そんな時、遠くから亮ちゃんを呼ぶ声が聞こえた。
錦戸「あっ、俺、帰らなアカン!また、会いに来るな!」
そう言うと、元気に駆けて行ってしまった。
また、あの子に会えると思えた時に
僕の孤独は少し消えていたのだ。