第99章 【夏ver.】シャルナーク
『……暑い』
今頃、涼しい室内でクロロから借りた古書を読んでいたところだったのだろう
そう、となりで叫ぶコイツさえいなければ……
「やっぱり夏は海だよね!ね!もそう思わない!」
『思わない』
"あはは、即答。"
苦笑しながら日陰へと向かう私の手を取り海へと向かわせる
暑い。もう帰りたい。
『離してよ。』
「い、や、だ。折角ここまで来たんだから泳がなくちゃ損だよ?」
こいつ、私のこと騙したくせに爽やかな笑顔なんて浮かべやがって
本屋へ行くって言われたからついてきたというのに……
嘘つきな彼はズルズルと水の中へ引っ張っていく
「脱いで!」
『無理。変態。死ね。』
「いや、水着じゃないとはいれないでしょ?」
既に海パンと上着1枚だった彼は今すぐにでも海で遊べるのだろう
よく見れば本屋になど行く格好ではなかったのになぜ私は気づかなかったんだ
『水着、着てない』
「へっ?え!なんで水着着てないの!海だよ!まさか裸で泳ぐつもり!?」
『はぁ、海に来たいとか言ってないし行くとも聞いてない。私はあのパラソルの下にいてるから帰るとき呼んで』
掴んでいた手が離れ日陰へ戻り古書へと目を向ける
視界の端ではかなり魅力的であろう女達に話しかけられまんざらでもない顔をするシャルナーク
なんだ、私がいなくても楽しいんじゃないか
胸中を何かモヤモヤとしたものが蠢く
『なにこれ。気持ち悪い。』
日に当たりすぎて体調でも崩したのだろうか?
そうであれば原因はヘロヘロ笑ってるあいつだ
"後で薬買ってもらお"