第98章 【夏ver.】フェイタン
大きな音を立て扉が崩壊する
おそらく力加減を間違えたのだろう
「!川行くね!」
『……え?』
珍しく声を張り上げた彼に驚き動きが止まる
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『うっわ、あっつー』
眩しい日差しに片眼を瞑り帽子を深くかぶりなおす
普段たたんでいる傘を開き日傘にしている彼は相変わらず口元まである上着を着ている
暑くないのだろうか?
「何してるか。ささと川入るね」
『てか、何しに川にきたわけ?』
そそくさと歩いていく彼は振り返り妖しく笑う
「電気うなぎ捕まえるね」
『はっ?うなぎ?』
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ゆらゆらと揺れる波に浮かぶ私は
珍しく露出度の高い彼が潜っていくその影を目で追う
どうやら本で電気うなぎの存在を知り拷問に使えないかと取りに来たらしい
それにしても……
『……私、必要?』
ワクワクとした様子でうなぎの隠れていそうな岩場について丁寧に教えてくれたが先に手本を見せてやると
"そこで待てるね"とだけ告げて潜っていった
そしていつの間にやら持ってきたかごの中には数十匹のうなぎ
心の底から私が来た意味を知りたい