第95章 【夏ver.】イルミ=ゾルディック
「次は?」
『次かぁ…』
「わぁ、猫さん可愛い」
『え、あぁ、これ?』
いつ間にそばに来ていたのだろう
小さな子供の目が私を見ている。いや、正確には私ではなく私の抱いてるぬいぐるみなのだけど
「ねぇねぇ、それ頂戴?」
『あー、うん、いいよ』
愛くるしいその見た目にやられたのかそれとも幼い子供という私の思考が与えるべきだと答えを出したのか
隣にいる彼が何も言わないのをいいことに少女に差し出す
嬉しそうに顔を綻ばせた少女は親の名前を呼びながらさっていった
「欲しかったんじゃないの?」
『あ、ごめん。怒ってる?』
「別に」
何も言わずに歩き出した彼は確実に怒っている
渡されるのが嫌なのであればあの時一言でもいえばいいのに……
見失わないように彼を追い、着いた先は千本引きの店
「1回」
「はい、どうぞ。一本引いてね」
優しい口調のおばあさんから方法を聞きさっと一本引く彼
今回は自分の欲しいやつでもあったのだろうか私には何も聞かない
何かを受け取った彼はそれを握った手をこちらへ伸ばす
「手、出して」
『うん?』
開いた手には小さい頃よくつけたビーズのネックレス
「これ、誰かほかのやつに渡したらそいつ殺すから」
『ふふ、うん。わかった』
可愛らしいネックレスを大事に握り締め微笑む
ヤキモチなんて妬かない人だと思ってた
きっとイルミはヤキモチだなんて認めないんだろうけど
H27.8.18