第95章 【夏ver.】イルミ=ゾルディック
パンッパンッパンッ
銃声のように大きな音があたりに響く
いつの間にか回りは人だらけ
皆、彼を見に来ているのだ
「、次は何が欲しい」
『え、えっと、もう、ないかな』
「そ。じゃあ、次どこ行く?」
射的屋の銃をおいた彼の手には打ちあてた様々な景品
"欲しいやつ全部とってあげる。何がいい?
まさか本当に全て取ってしまうなど一瞬も考えなかった
「?聞いてる?」
『あ、うん。次だよね。えーっと……』
のぞき込んできた顔に少し驚く
あまりにも近い顔に頬が熱くなるのを感じ目を屋台へそらした
『……あ、あれほしい』
「どれ?」
指さした先には黒く大きな目をした猫の人形
"わかった"
と小さく返事をして屋台へ向かう彼を追う
「1回」
「はいよ」
彼がゾルディック家の人だからだろうか
100ジェニーを持っている姿がとても似合わない
店主から輪っかをもらい軽く放り投げる
あぁ、これもまた楽々とってしまうのだろう
カランッ
なかなか良い音を立て景品のもらえる棒へと輪っかが入る
「はい。が欲しがってたやつ」
『ありがと。わっ、近くで見るとますますイルミに似てるね』
「俺?俺はそんな顔してないけど」
『そう?目とかそっくりじゃない?』
抱き抱えたぬいぐるみをまじまじと眺める
やはり宝石なのではないかと思うほどキラキラと輝く黒目はイルミのそれとよく似ていた
本人はあまり気にくわないようだが