第2章 新しい景色達
特に眼中にも、入ってはいなかった。
いや、そう言えば嘘になる。目に入れないようにしていた。プール使用禁止なんて生き地獄同然だ。しかし俺の生活領域が犯されたことに間違いはなかった。
最初から、そして今も・・・あいつの印象は最悪といって過言では無い。
突然俺の家に上がり込み、居候するようになったはいいが家事のやり方、料理から洗濯掃除まで、何一つ俺とあっていなかった。
・・・そんなせいでもあるんだろう、妙にあいつが"許せない"存在だった。
だからこそ余計なことをつい言ってしまったのかもしれない。
いや、俺はやっぱり許せなかったのはそこじゃない。真琴の言う通り、気に入らなかった。好きでもないくせに好きだなんてあんな無理やり言って。水への冒涜かと思った。
今思えばあんなどうでもいい奴のこと、ほおっといて然るべきだった。
正直に言うと、今は少し、困惑している。
多分、水への想いがこうして反動のようになっているのかもしれない。
#17 油汚れのオトシカタ。
・・・落ちない!!!
何この今日の油汚れ・・・。
夕食後、私はある苦悩に頭を抱えていた。
それが・・・皿の油汚れだ。
アクリルたわしは既に挑戦済み、お湯は暑過ぎて無理。アクリルたわしのやり過ぎによる手の傷、お湯での数カ所の火傷、そうして最後に慌てたことによってやらかした洗剤の使い過ぎによる手の荒れ・・・。もう私の道具である手は完全に使い物にならなくなっていた。
蛙が台所にある窓の外で鳴いているのを聞いた。
あー夏だなぁーなんて遠い目をしながら手を止めていたが・・・それどころではないのだ、私は!!
よしとりあえず熱湯は確実ー・・・
「いっ・・・」
ガシャン、と流しに虚しく皿が落ちる。
・・・・・・・・無理!!!!!!!!
くっそー・・・今まで洗剤結構使いながら、時々七瀬君の分も洗ってたりしたからかな?
徐々に手は荒れ、今に至っているのかも。もし明日の塩素たっぷりプールで支障があったら・・・江ちゃんにどやされても仕方が無い。
(私って・・・めちゃエコじゃないな・・・)
そんなことに引き笑い(きもい)を浮かべながら、手をだらしなくブランと垂れさせていた。